環境への配慮や肌への優しさから、近年は石鹸洗濯の需要が高まっています。しかし、ポイントを押さえた洗濯を行わなければ逆効果になってしまう可能性も。
今回は石鹸洗濯にまつわるトラブルの適切な対処法をご紹介します。また、後半では石鹸カスがつきやすい洗濯槽の掃除方法を解説。コツを掴み上手に石鹸洗濯を行いましょう。
目次
1.石鹸洗濯の悩みは4つ!
環境やお肌に優しい石鹸洗濯ですが、手間がかかること、扱いが難しいことなどから、ハードルが高く取り入れられないという方も多いかと思います。
よく挙げられる石鹼洗濯の悩み・トラブルとしては以下の4つがあります。
- 石鹼がとけない
- 石鹸カスがつく
- 黄ばみが残る
- 変な臭いがする
ここでは、この4つの悩みについて詳しく見ていきましょう。
①石鹸がとけない
粉末タイプの石鹸洗濯でよくある悩みです。一般的に粉末タイプは洗浄力が高く経済的というメリットがあります。しかし、水温が低いと石鹸がとけきらないことも。特に冬場は水温が低く、より溶けにくく洗浄力が低下してしまいます。さらに、「石鹸が溶けない」という問題、この傾向は粉末だけでなく液体でも同様のことが言えます。近年はメーカーの努力があり、だんだんこの課題を解決しつつありますが、基本的に石鹸の溶け具合と水の温度には綿密な関係があります。
粉末タイプの石鹸が高い洗浄力を発揮するためには、規定量をしっかり溶かして洗濯することが必要です。また、とけにくいからと規定量より少ない石鹸で洗濯をすれば十分な洗浄力を発揮できず、汚れが残ってしまう可能性もあります。
②石鹸カスがつく
こちらは、先述した石鹸がとけないことが原因で起こる悩みです。粉末タイプの石鹸を十分にとかさないまま洗濯すると、高い洗浄力が発揮できないことに加えて、とけ残った石鹸カスが衣類や洗濯槽に付着してしまうというトラブルも発生します。また、石鹼カスは固形タイプや液体タイプでも発生します。
さらに、一般的に石鹸カスというと「石鹸の溶け残り」というイメージが強くありますが、実は下記のように2種類に分けられます。
金属石鹸(アルカリ性)
石鹸と水に含まれるミネラル分(カルシウム・マグネシウム)が反応し、白いカスになり残った状態です。金属石鹸と呼ばれていますが、洗浄力はありません。
酸性石鹸(酸性)
石鹸と皮脂などの脂汚れが反応し、黒ずんでベタベタしたものを指します。洗濯槽の掃除をした際によく見かけるものです。
石鹸カスがつく主な原因は以下の3つです。
- 規定量以上の石鹸を使用している
- 洗濯機の大きさに対して洗濯物の量が多い
- すすぎの回数が少ない
③黄ばみが残る
石鹸の量が多いことやすすぎの回数が少ないことが原因。落としきれなかった汗や皮脂・衣服に残った石鹸カスが黄ばみを発生させます。石鹼カスが黄ばみの原因になる理由としては、石鹼そのものが動物や植物の油で作られているためです。
④変な臭いがする
洗濯したはずの衣類から油っぽい変な臭いが発生する原因としては、衣類に付着した石鹼カスが酸化していることが考えられます。先述したように石鹼は動物や植物の油で作られているため、石鹼カスが付着したままだと油臭さが残ってしまうのです。
また、この臭いの原因である石鹼カスの酸化は時間が経つことで進むため、洗濯直後よりも衣類が乾いてからの方が強くなります。
2.石鹸洗濯成功のコツは3つ!
石鹸洗濯の悩みからもわかるように、石鹸洗濯は扱いが難しくなかなか実践できないという方も多いのではないでしょうか。しかし、洗濯のコツを押さえておけば石鹸洗濯のトラブルは防止できます。ここでは以下3つのコツを紹介していきます。
- しっかり泡立てる
- お湯で洗う
- すすぎは念入りに
①しっかり泡立てる
石鹸洗濯で大切なことは、石鹸をよく泡立てることです。石鹸は水に溶けることで泡立ちはじめますが、この泡立つ濃度こそ石鹸の洗浄力が最も高くなる水中の濃度となります。そのため、石鹸を水中でよく溶かし、よく泡立てることが大切です。また、よく泡立てることは、石鹼がとけきらないことによる石鹸カス付着のトラブルを防ぐためにも役立ちます。
「全然泡立たないな」と感じる場合は、石鹸が足りていない証拠です。石鹸を使用するときは泡立ちを常に確認し、石鹸量が足りているか見ながら洗濯を進めましょう。
②お湯で洗う
先述したしっかり泡立てることと石鹸カスを残さないためにも、お湯で洗うことが大切です。一般的に、石鹸は20℃以上で水に溶けやすくなります。
粉末タイプの石鹸はとけずに石鹸カスが残ってしまったり、十分な洗浄力が発揮できなかったりといったトラブルが発生しやすいです。そのため直接洗濯槽に投入せず、一度大きな容器に30~40℃のお湯を入れ、その中に少しずつ粉末タイプの石鹸を混ぜ入れてから洗濯槽に移すことをおすすめします。
③すすぎは念入りに
洗濯後のトラブルを防ぐためにも、すすぎは2回行いましょう。1回では洗濯物に石鹼の成分が残ってしまい、黄ばみや臭いのもとになってしまう可能性があります。液体石鹸はとけ残りの心配はありませんが、すすぎの回数が少ないと洗濯物に石鹸カスが残ってしまうこともあります。液体・粉末どちらの利用であってもすすぎの回数は重要です。
洗濯機のケアも大切
石鹸洗濯は洗濯時のコツを覚えておくことも大切ですが、洗濯機自体のケアをしておくことも大切です。洗濯機に石鹸カスなどの汚れが溜まっていると、いざ洗濯をしたときにそれらの汚れが衣類に付着してしまう可能性があります。そのため、日頃から洗濯機のケアをしておくと良いでしょう。
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3.石鹸洗濯のあとは洗濯槽の掃除をしよう
先述した通り、石鹸洗濯を成功させるためには日頃から洗濯機のケアをしておくことも重要です。石鹼カスなどの汚れがこびりつかないように、石鹸洗濯後は早めに洗濯槽の掃除をしておきましょう。ここでは、縦型洗濯機とドラム式洗濯機の掃除方法を紹介していきます。
縦型洗濯機の場合
- 洗濯槽に40~50℃の熱めのお湯を高水位まで入れる
- 過炭酸ナトリウムを入れて約3分かき混ぜてとかし、1~2時間ほどおいておく
- もう一度約3分かき混ぜて、石鹼カスや黒カビが浮いてきたら取り除く
- 脱水して水を入れ替えてから、2回ほどすすぎと脱水を繰り返す
掃除が終わったらふたは開けておき、湿気がこもらないようにしましょう。また、2~3か月に1回ほどのペースで掃除しておくと黒カビが発生しにくくなりますので、目安として覚えておいてください。
ドラム式洗濯機の場合
- 洗濯槽のドアを開けても溢れない水位まで40~50℃の熱めのお湯を入れる
- 過炭酸ナトリウムを入れて10分以上攪拌し、ドラム全体に液体をいきわたらせる
- 石鹼カスや黒カビが浮いてきたら取り除く
- 脱水して水を入れ替えてから、2回ほどすすぎと脱水を繰り返す
攪拌する際は、洗濯機のつけおきコースの利用をおすすめします。ドラム式洗濯機の中には、過炭酸ナトリウムが使用不可の場合もありますので、その場合はメーカーが推奨する方法で掃除しましょう。
洗濯機の掃除方法については以下の記事でも詳しく紹介していますので、併せて参考にしてみてください。
4.石鹸洗濯の疑問を解消
ここでは、石鹸洗濯に関する疑問にお答えしていきます。 事前に不安を解消し上手な石鹸洗濯を行いましょう。
Q1:石鹸洗濯で汗や皮脂汚れは落ちる?
A.石鹸洗濯でも汗や皮脂汚れは落とせます。石鹼洗濯で汚れが残ってしまう場合は、石鹸が上手く使えていない可能性があります。石鹸を水にとかしきれていないと十分な洗浄力を発揮できません。先述した石鹸洗濯成功のコツを参考に洗濯を行ってみてください。
Q2:石鹸の洗濯で柔軟剤は入れる?
A.石鹸洗濯で柔軟剤は不要です。石鹸洗濯は柔軟剤を使用しなくてもふんわりとした洗い上がりになります。お肌に優しく刺激の少ない石鹸洗濯は、衣類の繊維を傷めにくいためゴワゴワしたり、チクチクしたりすることなく肌触りの良い洗い上がりとなります。
Q3:石鹸で洗濯ができない素材はある?
A.ウールやシルク・カシミアなどの動物繊維は石鹸洗いができません。ウールやシルクはアルカリ性の刺激に弱いため、アルカリ性の石鹸洗濯では繊維を傷めてしまうことがあります。そのため、中性の洗濯洗剤の利用をおすすめします。また、ウールは水に濡れて繊維同士が擦れると絡まって縮んでしまうこともありますので、クリーニング店に依頼するのも良いでしょう。
ちなみに、豆知識として...人の髪の毛も動物性繊維です。そのため、石鹸で髪を洗った場合はギシギシしてしまいます。
5.まとめ:石鹸洗濯は注意点を守り行いましょう
当記事では石鹸洗濯にまつわるお悩みや対処方法を紹介しました。手間がかかり、扱いが難しいイメージのある石鹸洗濯ですが、洗濯時のコツを押さえれば高い洗浄力を発揮し、洗濯後のトラブルを防ぐことも可能です。
また、洗濯の方法だけではなく洗濯槽自体のお手入れを日頃から行うことも石鹸洗濯では大切です。ぜひ今回紹介した、コツやお手入れの方法を取り入れて石鹼洗濯を試してみてください。