アルカリ性洗剤とは?最適な利用シーンを紹介・使用時の注意点も

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漂白剤を代表に、カビや油汚れなど頑固な汚れに強いアルカリ洗剤。しかし、用途を誤ると衣類にダメージを与えてしまうこともあります。

今回はアルカリ洗剤の仕組みや利用シーン、利用時のデメリット・注意点をご紹介します。

目次

  1. 「アルカリ性洗剤」とは?
  2. どんな汚れを落とせる?アルカリ洗剤の使い方
  3. アルカリ洗剤を使用する際のデメリット・注意点
  4. まとめ

1:「アルカリ性洗剤」とは?

洗浄力が必要な際は「アルカリ性」を選ぶ

洗剤の液性は、主に中性、酸性、アルカリ性の3つ。これらはpH(水素イオン濃度) 0〜14の数値で区分されています。

アルカリ性洗剤は、この液性が8〜14のアルカリ性を示す洗剤のことです。pHが14に近いほどアルカリ性が強くなります。

市販されている洗剤製品は、家庭用品品質表示法で以下の種類に分類されています。

洗浄力のある洗剤が必要な際は「アルカリ性」肌や素材に負担の少ないものなら「弱アルカリ性」を選ぶと良いでしょう。

アルカリ性

11.0超

弱アルカリ性

8.0超~11.0以下

中性

6.0以上~8.0以下

弱酸性

3.0以上~6.0未満

酸性

3.0未満

 

アルカリ性洗剤で落とせるもの:「油」

アルカリ性洗剤は酸性の汚れに効果的。酸性汚れの代表格である油汚れは、アルカリ性洗剤の得意分野です。

また、タンパク質を分解するため、血液や食べこぼし、焦げ付き、手垢、皮脂といった汚れに対して強い洗浄力があります。

ちなみに、アルカリ性の汚れには酸性の洗剤が効果を発揮。

汚れと反対の液性を持つ洗剤で中和させることで、汚れが落ちやすくなるためです。合わせて覚えておきましょう。

他の洗剤との違い

酸性洗剤

pH0〜6の酸性を示す洗剤のことで、アルカリ性の汚れが得意。アルカリ性の汚れには、水垢や、石鹸カスなどがあります。また、アルカリ性の臭いであるトイレのアンモニア臭などの臭い消しとしても有効です。

酸性洗剤を使用する際の注意点は、塩素系の洗剤と一緒に使わないこと。混ぜると有毒ガスが発生し、命の危険にもつながりますので注意しましょう。

中性洗剤DAILY SOAP / 衣類用洗剤

pH6〜8の中性を示す洗剤のことです。中性洗剤が汚れを落とす仕組みは、反対の性質で中和する酸性やアルカリ性洗剤とは異なり、中性洗剤に含まれる界面活性剤の働きによって汚れを浮かせることで落としやすくします。洗浄力が低いですが、刺激が少なくお肌や素材を痛めることが少ないタイプの洗剤です。

2:どんな汚れを落とせる?アルカリ洗剤の使い方

アルカリ性洗剤は触ってみるとヌルッとしていて、油汚れを落とすのによく使われています。酸性の汚れ全般を得意としていますが、実は家の中は油汚れ以外にも酸性の汚れで溢れています。さっそく活躍できるシーンと使い方を見ていきましょう。

お風呂掃除(カビ取り)

湿度が高く、石鹸カスなどの栄養が豊富なお風呂場は、放っておくと黒カビがどんどん発生してしまいます。

この黒カビは弱酸性のため、アルカリ性洗剤が有効。「カビキラー」等の塩素系漂白剤も、アルカリ性洗剤の一つです。

しばらく放置した黒カビは、浴室のタイルの隙間などに菌糸が深く根をはっているため、再発生を防ぐために強アルカリ性洗剤で奥までしっかり洗浄しましょう。

また、洗剤に直接触れると肌が荒れる原因になるため、ゴム手袋をして取り扱いましょう。

キッチン掃除

台所用洗剤(食器用洗剤)の多くは中性洗剤ですが、実はキッチンまわりの掃除には向いていません。頑固な汚れを中性洗剤で無理に掃除をしようとして、スポンジやブラシ、たわしでゴシゴシ擦って結果的に素材を傷めてしまうことも。

油汚れにはアルカリ性洗剤を。汚れに直接塗布して少し放置すると成分が浸透し、力をそれほど入れずに擦るだけで汚れが落ちてくれます。

換気扇やコンロ・グリル・壁の油汚れに限らず、電子レンジ等の焦げ、冷蔵庫の汚れ、シンクのぬめり、手垢、皮脂汚れなどにも活用できます。

普段のお掃除には、弱アルカリ性の「重曹」がおすすめ。自然由来でありながら、頑固な汚れを落とす研磨力や酸性の臭いを中和して消してくれる力があります。

リビング掃除

直接手足が触れることが多いリビングの床やドアノブ、電気スイッチ、テーブル、子供用のおもちゃなどには、手垢や皮脂汚れ、タバコのヤニ汚れが付着。これらも酸性の汚れのため、アルカリ性洗剤でのお掃除がおすすめです。

弱アルカリ性洗剤を布巾やペーパーに染みこませ、優しく拭きましょう。次に水拭きをして洗剤をしっかり落としてください。

衣類洗濯

アルカリ洗剤は、汚れをしっかり落としたいシーンで最適な洗剤です。

軽い皮脂汚れは弱アルカリ性洗剤でも十分に落ちます。アルカリ性洗剤にはタンパク質を分解する働きもあるため、血液の汚れにも◎。

落としにくい血液汚れに特化した洗剤はこちら(SANITARY SOAP / 血液・タンパク質汚れ専用洗剤

一方アルカリ性洗剤は生地を痛めやすいのも特徴の一つ。「デリケートな洋服や、子供服にアルカリ性洗剤を使用するのは少し心配...」という方は、以下のような洗浄力の高い中性洗剤やおしゃれ着用洗剤がおすすめです。

 

3:アルカリ洗剤を使用する際のデメリット・注意点

アルカリ性洗剤には強力な洗浄力がありますが、その分刺激も強いため取り扱いには注意が必要です。小さなお子さんがいる家庭では、子供が誤って口にしたり触れたりしないよう手の届かない所へ置くなど収納場所にも気を付けましょう。

素材を痛めやすい・使用できない素材がある

強いアルカリ性洗剤を使用すると、生地や素材を痛めてしまう危険があります。特に以下のものへ使用するのは避けましょう。

アルミ素材やフッ素コート:アルミ素材に付着すると黒く変色したり、腐食して穴が開いたり、サビの原因となります。

木製の家具や畳:水が染みこむ素材への使用は控えましょう。シミや変色の恐れがあります。

車やバイク:アルカリ性洗剤は油汚れに強いため、車やバイクのホイールに付いた頑固な油汚れを落とすのに向いていると思われがちですが、金属を腐食する恐れがあります。使用する際には、洗剤が残らないようにしっかりと洗い流すようにしましょう。

動物系の天然素材:動物系の天然素材の衣類には使用できません。具体的には、ウール、カシミヤ、シルク、アンゴラ、モヘヤなどが該当します。これらの素材は、人間の髪の毛と同じタンパク質です。アルカリ性はタンパク質を溶かす働きがあるので、これらの使用には向いていません。

その他にも、水洗い・水拭きできないものや柔らかい素材の床、家具の塗装面などにも使用することができません。製品に記載されている注意事項をよく確認してから使うようにしましょう。 

ゴム手袋をつける

タンパク質を分解する働きがあり、手垢や皮脂汚れにも有効なアルカリ性洗剤。直接お肌に触れると必要な皮脂まで過剰に落としてしまい、乾燥・肌荒れの原因にも。

pHが14に近いほど洗浄力は強くなり刺激も強くなるため、お掃除中はゴム手袋をして直接手に触れないようにしましょう。もし直接触れてしまったらすぐに洗い流してください。

万が一目に入ったら、医療機関へ

万が一アルカリ性洗剤が目に入ってしまうと失明の恐れがあります。目に入ってしまったら決して擦らずすぐに15分以上、流水で洗い流してください。コンタクトは無理に外さず、まずはそのまま洗い流して問題ありません。その後、外せるようなら外して再度洗い流しましょう。目薬や洗眼液では十分に洗い流せませんので、必ず流水で洗うようにしてください。

製品の注意表示で医療機関への受診を勧める記載がある場合は、目に痛みや違和感がなくても必ず医療機関の診察を受けるようにしてください。また、診察を受ける際は、目に入ってしまった製品を持参すると良いでしょう。 

4:まとめ

アルカリ性洗剤は家の中にあふれる酸性汚れを落とすのに欠かせないアイテムで、頑固な油汚れや皮脂汚れをスッキリ落としてくれます。どのような汚れに使えるか、またどのような素材には向いていないかを確認して、シーンに合わせて使いましょう。

洗浄力が強い分、刺激も強いので取り扱いには十分注意し、製品に記載されている使用上の注意は必ず読むようにしてください。アルカリ性洗剤をうまく使いこなして家のお掃除の効率アップを目指しましょう。

著者

Kazama

洗濯もライティングも絶賛修行中の元アパレル店員。
この情報もっと早く知りたかった!と、シミになったお気に入りの服を想いながら書いています。

監修者

w_mashimo

クリーニング事業用の機械・洗剤・備品を扱うクリーニング機材商の(株)光栄産業にて勉強中。2014年に長く従事したアパレル業を辞め転職。家庭用向けケアブランド 『DAILY CLEANERS & CO-』も運営。
酒と肴をこよなく愛しています。一猫一女と日々格闘中。

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