私たちが普段、洗濯に使っている洗剤について成分をじっくり確認したことはありますか。洗濯洗剤の裏面にある成分表を確認すると、実にさまざまな成分が使われているとわかります。
今回は洗濯洗剤に含まれる5つの成分を紹介します。また、混同されがちな石鹸と洗剤の成分に見る違い、粉末洗剤と液体洗剤の違いについても解説します。大切なお洋服を長くきれいに着るなら、適切な洗剤を使うことが欠かせません。
正しい知識をつけて毎日の洗濯を効率的に行いましょう。
目次
1:洗剤の成分は5つある
一口に洗濯洗剤と言っても様々な成分が含まれており、ひとつひとつの成分を理解すると洗剤を使う意味がよく分かります。ここでは洗濯洗剤に含まれる5つの成分を紹介します。
界面活性剤
洗濯洗剤だけでなく、食器用洗剤やシャンプーなどにも使われている界面活性剤は、界面(物質の境の面)に作用し性質を変化させる成分を指しています。界面活性剤はひとつの分子中に、水になじむ特徴を持つ「親水性」と、油になじみやすい「親油性」を兼ね揃えているため、水と油のように混じり合わないものを混ぜ合わせ、洗剤では汚れを落とす効果を高めます。
水軟化剤
水軟化剤は界面活性剤の働きをサポートする成分です。私たちが普段、洗濯に使う水道水にはカルシウムやマグネシウムが含まれています。それらの成分は「金属イオン」に分類され、汚れを落としにくくする特徴を持っています。
しかし、洗濯洗剤に水軟化剤を含むことで金属イオンと水軟化剤が結合し、汚れを落とす界面活性剤の働きを守ります。なお、水軟化剤は「アルミノケイ酸塩」「アクリル酸」「マレイン酸系高分子」などと表記されることもあります。
酵素
酵素もまた界面活性剤が汚れを落とすサポートを行う成分です。繊維の奥に入り込んだ汚れを落としやすくするため、頑固な汚れを落としたい場合やつけおき洗いをする場合に欠かせない成分です。具体的には、襟元に付着する皮脂をはじめとしたタンパク質汚れは、洗剤の主成分だけでは落としきれません。しかし、酵素が含まれた洗剤の場合はタンパク質と結びついて頑固な汚れを落としやすくなります。な2お、酵素は下記の名称で成分表に記載されることもあります。
- リパーゼ
- アミラーゼ
- プロテアーゼ
- セルラーゼ
蛍光増白剤
蛍光増白剤は私たちの目に見えない紫外線を吸収し、目に見える青白い色に変える特徴を持った成分です。青白い光は蛍光色とも呼ばれ、洗濯物の白さを増す効果が期待できます。なお、普段購入する衣類の多くには製造段階で蛍光増白剤が使われています。
ただ、衣類の中には「無蛍光洗剤使用」と表示されているものがあります。その場合は蛍光増白剤を使用していない洗剤を使いましょう。また、蛍光増白剤入りの洗剤が衣類の一部分に付着した場合、その箇所のみ色が抜けることも。
さらに、色柄のデザインになっている衣類や天然素材の衣類に使うと白っぽくなる可能性があります。一度蛍光増白剤が付着すると取ることが難しいため、色物の洗濯時は注意が必要です。
アルカリ剤
アルカリ剤は洗濯液のph(水の性質を表す基準)をアルカリ性に傾ける成分を指します。弱アルカリの洗剤は皮脂汚れや血液などタンパク質の汚れに効果的です。アルカリ性と記載がある洗剤は、たしかに洗浄力が強い特徴を持ちますが、デリケートな衣服の場合は色落ちの原因となったり繊維を傷つけたりするため不向きです。
アルカリ性の洗浄力を維持したいものの、色落ちや生地へのダメージが気になる場合は柔軟剤を入れるタイミングでクエン酸を使用する方法があります。クエン酸の投入は水の性質を中性に傾ける効果を期待できます。
なお、アルカリ剤は「けい酸塩」「アルカノールアミン」などと表記されることもあります。参考までに、粉の洗剤も弱アルカリ性です。
2:石鹸と洗剤は違うの?
洗濯には石鹸と洗剤を使うケースが見られます。実際に商品パッケージを見ていくと「液体石鹸」「洗たく石鹸」と書かれているものをみかけます。ここでは石鹸と洗剤の違いを紹介します。
石鹸と洗剤は成分が違う
石鹸と洗剤は成分が異なります。石鹸は天然油脂や脂肪酸(牛脂やパーム油など)を使って作られており、洗剤(合成洗剤)は石油を化学合成して作っています。近年は植物由来の成分を使用した洗剤も見られますが、品質表示の観点から洗剤には変わりありません。また、石鹸の弱点を補うために合成洗剤と混ぜた「複合石鹸」と呼ばれるものもあります。
また、製法にも違いがあり、石鹸は天然油脂など原料を苛性ソーダや苛性カリと反応させ手作りで仕上げます。一方、合成洗剤は石油からアルキルベンゼンやアルファオレフィンなどいわゆる合成界面活性剤の原料になるものを作ります。そこで化学合成を起こし合成界面活性剤を作り出します。
なお、石鹸を洗濯をした際に「石鹸かす」が気になるという声が聞かれますが、この石鹸カスは2種類に分けられます。ひとつ目はアルカリ性の金属石鹸と呼ばれるもので、白いカスになり残ってしまいます。なお、金属石鹸といっても洗浄力はないため残っている場合は取り除きます。
もうひとつは「酸性石鹸」と呼ばれるもので、石鹸と皮脂などの脂汚れが反応したものを指します。黒ずんでベタベタした特徴を持っています。
石鹸と洗剤はいずれも汚れをきれいに落とす目的で作られていますが、原料や製法はまったく異なります。なお、自然由来の成分で優しさを重視するのであれば石鹸を選び、使いやすさや洗浄力を重視するなら洗剤がおすすめです。
なお、洗剤(合成洗剤)についてさらに詳しく知りたい場合は下記の記事もあわせてご覧ください。
3:洗剤は色々な種類がある
石鹸と洗剤は異なるものですが、洗剤の中でもさまざまな種類に分けられます。一般的に洗濯洗剤というと下記の3つが有名です。
粉末洗剤
1つ目は昔からある粉末洗剤です。ドラッグストアやホームセンターで購入する場合、箱に計量スプーンがついているものをよく見かけます。粉末洗剤は弱アルカリ性のものが多く、液体洗剤よりも汚れを落としやすい特徴を持ちます。
ただし、水に溶けにくかったりたくさんの衣類を詰め込みすぎると衣服に固着してしまったりするデメリットもあるため、よく溶かして洗濯しましょう。
液体洗剤
近年、一般的に使われている液体洗剤は水に溶けやすい特徴を持っています。中性成分の商品が多く、粉末洗剤よりもやや洗浄力に劣りますが普段の洗濯物であれば問題なく洗い上がります。さらに、柔軟剤入りの商品も登場しており効率的な洗濯がかないます。除菌成分配合や漂白成分配合の商品もあるため、洗う衣類の特徴によって使い分けがおすすめです。
ジェル状洗剤
ここ数年、ジェル状の洗剤も流行しています。ボールのような形でぷにぷにとした感触が特徴的で、洗濯機に放り込むだけで使えます。スプーンやキャップ部分で計量せずに使える点がメリットです。ただし、水量によっては少し洗剤が多いと感じたり、もったいないなと感じる可能性もあるでしょう。
洗剤は含まれる成分や形状によって豊富な取り扱いがあります。各家庭の洗濯で使いやすいもの、コストを鑑みたものなど、自分が求める要素に合わせてチョイスしましょう。
4:まとめ
今回は洗剤に含まれる成分について紹介しました。一口に洗濯洗剤と言っても、さまざまな成分が含まれており、その成分によって洗濯物がきれいになったり手触りに影響を及ぼしたりするとわかります。
これまで何気なく使っていた洗濯洗剤の裏面を確認してみるのもいいですね。汚れの広さや衣服のデリケートさに合わせて適切な洗剤を選択しましょう。