ウールコートはクリーニング店でしか洗濯できないと考えている方も多いでしょう。知識のないままウールコートを自宅で洗濯してダメにしてしまう場合もあります。
本記事で、ウールコートは自宅で洗濯できるのか、よくある失敗、実際の洗い方などについて解説していきます。
目次
1:ウールのコートは自宅で洗濯可能?
洗濯表示を確認するとわかりますが、ウールはデリケートな素材のため「家庭での洗濯禁止」「塩素系および酸素系漂白剤の使用禁止」のマークが記載されているものが多くあります。そのため、家庭での洗濯は基本的に避けるべきとされています。
ウールコートを自宅で洗いたいと考えている方は、着古してしまい捨てるか迷っているものや、クリーニング店へ持っていくほどのものでないと考えているコートで試すようにしましょう。ウールコートは洗濯に失敗すると着られなくなる可能性があります。理解したうえで行ってください。
2:自宅での洗濯でよくある失敗
ここからは、ウールコートを自宅で洗濯する際のよくある失敗について紹介します。自宅で洗濯して、失敗してしまうとどうなるのか理解しておきましょう。
目立つシワができる
洗濯後や脱水時にできたシワは、なかなか取れなくなる場合があります。アイロンで伸ばそうとしても、アイロンの熱で繊維が溶けてしまうリスクがあります。また、スチーマーを使用しても、十分に効果が出ない場合も少なくありません。また、反対に生地にダメージを与えてしまう恐れがあるため注意が必要です。
縮んでしまう可能性がある
ウールコートは、水に濡れた状態で擦れると縮みやすく、洗濯機で強い力が加わると「フェルト化」といわれる現象が起こりやすくなります。フェルト化すると、生地が固くなり、質感もゴワゴワとして風合いが損なわれてしまいます。
フェルト化してしまうと元に戻すのは不可能で、サイズも変わり着用が難しくなることも少なくありません。
形崩れする
自宅でウールコートを洗濯すると、修復が難しいほどシルエットが崩れてしまう可能性があります。お気に入りのコートが自分の身体にフィットしなくなったり、だらしない印象になったりします。
とくにウールは、洗濯で繊維が変形しやすい生地です。洗濯機で長時間脱水をしてしまうと、生地が不均一に引っ張られてしまい、肩や袖の部分は変形しやすいでしょう。
3:洗濯機での洗い方
ここからは、ウールコートを洗濯機で洗う方法を紹介します。やり方を間違えてしまうとシワや縮み、型崩れの原因になるため、気を付けてください。
前準備
汚れが気になる部分があれば、水と液体洗剤を付けてブラシで叩くように部分洗いをしておきましょう。ゴシゴシと擦ると生地を傷めてしまうため、叩くように処理するのがポイントです。
ある程度汚れが落ちたら、コートを裏返して丁寧にたたみ、型崩れを防ぐために洗濯ネットに入れます。ネットに入れると、洗濯機の回転による摩擦を減らし、コートの生地を守りながら汚れを落とせます。
洗剤
ウールを洗濯する際は、中性洗剤を使用しましょう。人の髪の毛を石鹸で洗うと髪がゴワゴワしてしまいます。髪の毛とウールの主成分は同じたんぱく質のため、石鹸や弱アルカリ性の洗濯洗剤を使用すると同じ現象が起こります。ウールやカシミヤなどの動物性繊維を洗濯する場合は、安全に洗濯を行うため、中性洗剤を使用しましょう。
なお、化学繊維のものは石鹸や弱アルカリ性での洗濯も可能です。
石鹸での詳しい洗濯方法を知りたい方は、こちらもご覧ください。
洗濯・脱水は短時間
洗濯機の設定は、「手洗いコース」「ドライコース」「おしゃれ着コース」などの生地を傷めにくい優しいコースを選びましょう。摩擦や型崩れを防ぎ、素材の風合いを保てます。長時間の洗濯は、コートのダメージにつながるため、短時間で洗うのがポイントです。
また、脱水は生地を守るために1~2分を目安で行いましょう。全自動で脱水を進めてしまうと過剰な回転で型崩れや縮みを引き起こします。すすぎが終わったら一度洗濯機を止めて手動で脱水時間を調節するようにしてください。
乾燥
コートはハンガーにはかけず、必ず風通しの良い日陰で平干ししてください。ハンガーで干すと、重さで生地が伸びたり型崩れしたりします。平干しする際は、形を整えて乾かすとシワやヨレを防いでくれます。
半乾きになったら、乾燥機やドラム式洗濯機の乾燥機能で10~15分ほど乾燥させるのもおすすめです。この方法は好みではありますが、ウールが柔らかく仕上がります。半乾きの状態であれば、ウール特有の「フェルト化」も防げるため安心です。乾燥機を使う際は、弱め(低温)に設定し、短時間に抑えましょう。
アイロン
ニットのシワが気になる場合やふっくらと仕上げたい時は、アイロンのスチーム機能を使うのがおすすめです。ただし、アイロンを直接当ててしまうと繊維が寝てしまい、風合いを損ねてしまう恐れがあります。蒸気を当てる際は、生地に軽く触れる程度にアイロンを動かすようにしましょう。
また、吊るした状態でアイロンを当てるとシワが自然に伸びやすく、きれいに仕上がります。
4:迷ったらクリーニング店に出そう
どれだけ丁寧に自宅で洗っても、シワや縮み、型崩れが避けられない場合があります。とくに新品や高級なコート、一生大切に着ていきたいコートは、無理に自宅で洗わず、クリーニング店に任せるのが安心です。
プロに任せれば、コートの生地や風合いを守りつつ、きれいに仕上げてくれます。迷いがある場合は、失敗を防ぐためにも洗濯の専門家であるクリーニング店に任せましょう。
5:着用後のお手入れポイント
ここからは着用後のお手入れのポイントについて紹介します。日頃からお手入れすれば、洗濯の頻度も減らせて、長持ちするため、ぜひ着用後は行うようにしましょう。
肩幅に合うハンガーを使う
コートをハンガーにかける際は、ハンガーの幅がコートの肩幅に合っており、厚みのあるものを選ぶようにしましょう。コートの形に合っていないハンガーを使ってしまうと、型崩れの原因となってしまいます。
また、コートのポケットの中に物を入れたままにしてしまうのも型崩れの原因です。コートをハンガーにかける時は、必ずポケットの中身を出してからにしましょう。
ブラッシング
ウールコートの毛玉は、着用時の摩擦で繊維が絡み合い発生します。とくに腕や脇の部分は摩擦が多いため、毛玉はできやすくなります。そのため、着用後は必ずブラッシングして、絡まった繊維をほぐすのが重要です。毎回ほぐすことで、毛玉の発生を未然に防げます。また、ウールコートは見た目以上にほこりが付着しています。ブラッシングには、ほこりを取り払う効果もあるため、日頃からブラッシングを習慣にしておくと、清潔に保てて長持ちにつながるでしょう。
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乾燥させてからクローゼットへ
ブラッシングが終わったら、コートは風通しの良いところでしっかり乾燥させてからクローゼットにしまいましょう。乾燥を怠ってしまうと、カビや不快な臭いが発生する可能性があります。冬場でも意外に汗をかいているため、必ず陰干しをしてください。 また、翌日も使うからと、クローゼットにしまわないでいると少しずつ色が変わる場合があります。大切なコートを守るためにも、適切な保管方法を心がけましょう。
6:まとめ
ウールコートはデリケートな生地のため、基本的にはクリーニングがおすすめです。自宅で洗濯する場合は、古くなったコートで試すようにしましょう。洗濯する際は、優しいコースで選び、すすぎも脱水も短時間に留めるようにします。
日頃のお手入れは、コートの形にあったハンガーを使い、ブラッシングして、風通しの良い場所で乾燥させることが重要です。大切なウールコートを守るためにも、お手入れを怠らず、迷った際はプロに任せるようにしましょう。