【洋服ブラシの効果と使い方】ブラッシングで大切な洋服をお手入れしよう。

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洋服をブラッシングできる「洋服ブラシ」

和装から洋装へと変わるタイミングで海外から輸入されましたが、着物文化が長かった日本ではあまり普及してきませんでした。

「聞いたことはあるけれど、使ったことはない」「どんな役割があるかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

実はこの洋服ブラシ、大切なお洋服を長持ちさせるためには欠かせない存在。

頻繁にクリーニングに出さなくても、ブラシを使ったちょっとしたお手入れで、お洋服を美しく保つことができるのです!

今回は、洋服ブラシの役割と上手な使い方を、詳しく解説していきますよ。

目次

  1. 洋服ブラシの役割・効果
  2. スーツやニットに◎ブラシでケアできるお洋服
  3. 洋服ブラシを選ぶポイント
  4. 洋服ブラシの使い方とコツ
  5. 洋服ブラシのお手入れ方法
  6. まとめ

1:洋服ブラシの役割・効果

洋服ブラシと聞くと、見た目の毛並みを整えるイメージが強いかもしれませんが、洋服の状態を整え、洋服の寿命を伸ばす」という面でも大事な役割を果たします。

①汚れを落とす

1日着用しただけでも、思いのほか汚れているお洋服。セーターやニットなどの衣類は、ホコリやチリが付着したまま放置すると、繊維の隙間に汚れが蓄積し、落ちにくくなります。

専用のブラシ(DAILY BRUSH / デリケート衣類用ブラシ)で毎日ブラッシングすれば、その日についた汚れや花粉などを払い落とすことができます。常に清潔な状態を保つことにより、カビや虫食い、嫌な臭いの予防にも◎。

②繊維の目を整え、毛玉を防止する

繊維には目(正しい流れの方向)があります。

洋服はどんなに気をつけていても、着るたび必ず摩擦を受けるもの。重ね着した他の衣類との擦れ、肘や袖を乗せるテーブルとの擦れ、持ち歩いているバッグとの擦れ...摩擦によって正しい流れで寝ていた繊維同士が絡まってしまいます。ケアをしないまま放置するとさらに繊維が絡まり、最終的に「毛玉」が発生!

そうなる前に、ブラシを使って繊維の状態を正しく整えてあげることで、毛玉を防止することができますよ。

また、ブラッシングをして繊維が綺麗に立ち上がると、生地本来の風合いも復活。毛の流れを整え、見た目の印象もUPさせてあげましょう。

③繊維に空気を通す

セーターやニットなどは、ハンガーに掛けずに畳んだ状態で重ねておくと圧力がかかり、繊維がつぶれてしまいます。また、つぶれた繊維をそのままにしておくと、服のシルエット自体も変化。シワや型崩れの原因につながります。

衣類をハンガーにかけながらブラッシングをして、繊維に空気を含ませてあげましょう。型崩れを防ぎながら、生地本来のふわっとした質感に仕上げることができます。

④毛玉をとる

毛玉は作らないよう予防するのが一番大事。...といっても、お手入れを忘れてしまう時もありますよね。

毛玉ができてしまった時もご安心を。洋服ブラシはすでに出来てしまった毛玉取りにも有効ですよ。毛玉にブラシの毛を引っ掛けて軽くひねるようにすれば、簡単にとることができます。機械を使うよりも生地を痛めないので◎。

ただし、絡みついているような毛玉は、通常のブラシではなかなか取りにくいことも...。

そんな時おすすめなのが、毛玉取り専用のブラシ生地への負担を軽減しながら毛玉を取ることができるので、一つ持っておくと便利です。

★毛玉取りについてさらに詳しく知りたい方はこちら↓

 

⑤クリーニングの回数を減らす

日々ブラシでお手入れをしておけば、クリーニングに持っていく回数やウェットクリーニングを併用する回数を減らすことが可能です。

有機溶剤を使用し皮脂汚れを落とすドライクリーニングと、水溶性の汚れを落とすウェットクリーニング。キレイを保つならどちらのお手入れも必要ですが、頻繁に行うと生地にとっても、家計にとっても負担がかかってしまいます。

クリーニングだけでなく洋服ブラシも一緒に活用することが、洋服を長持ちさせる秘訣ですよ。

 

2:スーツやニットに◎ブラシでケアできるお洋服

水洗いできないスーツやニット、コート、ジャケット、ブルゾン類のお手入れに活用できます。金属や革を使ったお洋服にも◎。

特に、毛玉ができやすいアクリル・ポリエステル混紡などの化学繊維、毛(ウール)やカシミヤなどの天然繊維に効果的です。

ただし、ふんわりとしたモヘア(アンゴラ)素材は、毛が抜けやすい性質のため過度なブラッシングは避けてください。

ブラシの代わりとして同系色のタオルを使い、流れに沿って撫でるように毛並みを整えてあげるのがおすすめです。

★コート・スーツのケアについてもっと詳しく知りたい方はこちら↓

3:洋服ブラシを選ぶポイント

一口に洋服ブラシと言っても、素材やサイズ、形状などによって異なる個性を持っていますよ。使いたいお洋服やよく使うシーンに合わせて、自分にあったものを選びましょう。

①ブラシの素材

日常使いには、天然素材の「豚毛」や「馬毛」がおすすめです天然毛は、適度な油分と水分を含んでいるため、静電気が起きにくくなります。

豚毛は、ハリ、コシがある毛質のため、コートやスーツなどの織り目が細かく詰まった生地に向いています。白豚毛は黒豚毛よりも柔らかく、カシミアなどのデリケートな素材にも使用できます。


 

馬毛は、毛質がしなやかでキメ細かいのが特徴。質感が柔らかく、カシミヤ・アルパカなどのデリケートな素材にも安心してブラッシングできます。あらゆる素材に使用できる万能なブラシです。


馬毛よりもさらに柔らかい毛質なのが山羊の毛。少し値は張りますが、傷つきやすい革素材など特別なお洋服のケアにぴったりです。

ちなみに、安価な化学繊維の毛のブラシはあまりおすすめできません。静電気が起こりやすいため、繊維の流れを乱してしまう可能性があります。

②サイズ・形状

できるだけ短時間で手入れを済ませたい方は、ブラシの部分が広い大きめのもの、外出先でも使いたい方や小柄な女性の方にはコンパクトなものがマッチします。

持ち手がないタイプはブラシ自体をつかんで使用するため、力を加減しやすいのがポイント。

持ち手があるタイプは、ハンガーにかけたままお手入れしやすい点が魅力です。

★ポイント<エチケットブラシや粘着シートについて>

洋服ブラシと似た用途で、エチケットブラシや粘着シート(コロコロクリーナー)などもよく見かけますよね。

どちらも服の表面についたホコリやチリを取り去るのが主な用途ではありますが、「繊維の目を整える」「繊維に空気を通す」という役割は果たすことが出来ません。

汚れを落とすだけでなく服の繊維を整えてケアするためには、洋服ブラシを活用しましょう。

4:洋服ブラシの使い方とコツ

洋服ブラシの役割を理解した上で、正しいブラッシングの方法を見ていきましょう。ちょっとしたコツをおさえるだけで、簡単にお手入れをすることができますよ!

①ブラッシングする衣類をハンガーに掛ける

コートやジャケットなど、型崩れ防止が重要なものは厚みのあるハンガーを選んでください。ハンガーとコートの肩幅が合う、着用した時に近いシルエットを保てるものがおすすめ。

ハンガーに掛けるとかえってブラッシングしにくい薄手のニットや細いマフラーなどは、テーブルに置いてブラッシングしても良いでしょう。

②繊維と逆方向にブラッシングして、汚れを浮かせる

衣類の上にホコリやチリが付いた状態で繊維の方向に沿ってブラッシングすると、汚れが繊維の中に入り込み、取れにくくなってしまいます。

最初は、繊維の目と逆方向にブラシをかけて汚れを浮かせます。軽く優しく、さっと「払う」のがポイントです。

この段階でしっかりと繊維の絡まりをほぐし、繊維にからんでいたホコリを表面に持ってきてあげましょう。

特に襟や袖口など、肌に直接触れる部分は汚れが付きやすいので、忘れずにブラッシングを。前身頃、後身頃の他にもポケットに至るまで丁寧に行ってくださいね。

③繊維の目に沿ってブラッシング

しっかりと汚れを浮かせたら、繊維の目に沿ってブラシをかけていきます。

ニットセーターは編んでいる衣類のため、縦糸と糸が複雑に絡んでいます。縦糸と緯糸の間にブラシをかけていくイメージでブラッシングをしましょう。

ここでも大事なのは、繊維を「払う」ようにブラッシングをすること。表面にあらわれたホコリをブラシを使ってすくい取ってください。

押し付けたりこするように使うと、せっかくほぐした繊維がからんでしまいます。手首のスナップを効かせて、ソフトに勢いよく行いましょう。 

④ホコリが取り除けたら服全体をブラッシング

生地目にあわせて、一定方向に大きくゆったりとブラシを使います。

空気を含ませるようにブラッシングすることで、素材本来の風合いや光沢を取り戻すことができますよ。

5:洋服ブラシのお手入れ方法

洋服をお手入れする上でも、ブラシのケアは必須です。汚れやホコリがついていないか、定期的に確認しましょう。

①汚れを落とす

洋服ブラシを使い続けるうちに、汚れをとるブラシ自体にも汚れが溜まっていきます。せっかくブラッシングしても、逆に汚れを移してしまうことになり兼ねません。

ブラシが汚れていたら、くしを使ってホコリを浮かせるようにとかしたり、水を含ませてかたくしぼった布で拭いてあげてください。

ただし、ブラシのお手入れに水洗いはNG。天然毛を使ったブラシは水に弱いものが多いので、水分には注意が必要です。

ハンドル部分が木製である場合は歪んで亀裂が入ったり、反りが出る可能性も。

濡れたお洋服に使用するのも避けましょう。

②ほこりがつかないように保管する

洋服ブラシの毛先を上に向けて置いておくと、その上にほこりがどんどん積もってしまいます。ブラシを使わないときは毛先を内側にしてフックにかけたり、ウォールポケットに保管すると良いでしょう。

上向きにして置いておく場合は布を被せるなどして、毛先にほこりがつかないような工夫をしてくださいね。

6:まとめ

いかがでしたでしょうか。

大切なお洋服を長持ちさせるために、洋服ブラシはマストアイテム!

帰宅時のルーティンにブラッシングをプラスすれば、お気に入りのお洋服を清潔かつ美しい状態で楽しむことができますよ。

手をかけた分、お洋服への愛着もぐっと深まること間違いなし。あなたの暮らしにぜひ、洋服ブラシを取り入れてみてくださいね。

著者

Kazama

洗濯もライティングも絶賛修行中の元アパレル店員。
この情報もっと早く知りたかった!と、シミになったお気に入りの服を想いながら書いています。

監修者

w_mashimo

クリーニング事業用の機械・洗剤・備品を扱うクリーニング機材商の(株)光栄産業にて勉強中。2014年に長く従事したアパレル業を辞め転職。家庭用向けケアブランド 『DAILY CLEANERS & CO-』も運営。
酒と肴をこよなく愛しています。一猫一女と日々格闘中。

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