お洗濯情報 vol.5

2022年 2月号

洗剤はいらない?もっと汚れを落とす4つのポイントとは?

今回は前号に引き続き、洗濯をもっと深堀して『汚れをもっと落とすコツ』をテーマに書いていこうと思います。前回は洗剤(界面活性剤)の大切さを説明したはずなのに、いきなり洗剤はいらないと言うと、とても語弊がありますよね。。

しかし洗濯のプロであるクリーニング業界では常識とされていますが、一般的にはあまり知られていないとても大切なポイントがあるんです。

多くの人のイメージでは恐らく洗剤を使わなければ汚れは落ちないと思っていると思いますが、汚れを落とす要素は、実は洗剤を含めて4つあります。この4つのポイントを抑えることで汚れ落ちが違ってくるはずです。

次の項から順番に4つのポイントを、注意点と併せて書いていきます。

 

汚れを落とす大切な4つの要素とは?

洗濯において汚れを落とすのは洗剤だけではありません。ある企業の研究結果では汚れを全て除去するためには、【洗剤】の他に【洗濯機】【温度】【時間】が不可欠だと結論があり、その汚れの除去に寄与する割合は、下記の円グラフになっています。

綺麗な円グラフを上手に描き、合計を100%に近づけることが、汚れを完全に除去するということです。

次の項では下記グラフの要素別に説明をしようと思います。

 

 

①洗濯機の作用

機械的エネルギーといい、洗濯機での物理的な作用を意味しており、汚れの除去に寄与する比率としては全体の約30%と言われています。

洗濯機はドラム(叩き・揉み)・縦型(水流・擦れ)の効果で汚れを除去しています。少し極端な言い方かもしれませんが、水溶性汚れや不溶性の汚れは、洗剤を使わずに洗っても、上手く洗えれば汚れの約30%は除去できるということです。

しかし注意すべき点は、適正量以上に洗濯物を入れてしまうことです。適正量以上に洗濯物をいれてしまうと、極端に効果は低下し洗浄性が悪くなってしまいます。

また最近の家庭用洗濯機は、節水型に進化しているので、水の量がではありません。適性な水量で「洗い」を行い、たっぷりの水量で「すすぎ」を行うことが大切です。

ちなみに必ず定期的に洗濯槽も綺麗にしましょう。

 

②温度の作用

熱的エネルギーといい、水温を意味します。汚れの除去に寄与する比率としては全体の約15%と言われています。

温度と分子の動きには比例関係があり、水温が上昇すれば分子が活発になり、汚れに作用する効果が大きくなります。襟周りに多い皮脂などの油汚れにはとても効果的です。

また石鹸の洗剤には温度が非常に重要と言われています。石鹸は冬場など水温が低くなると、働きが弱くなり溶け残りや石鹸カスの原因となるからです。

 

【注意】
水温を上昇させると、色落ちが起こり易くなる為、注意が必要です。またタンパク質の汚れ(血液・赤ちゃんの便・卵など)は40度以上のお湯を使うと、反対に汚れが落としにくくなってしまいます。

 

③時間の作用

時間的ファクターといい、洗浄時間を意味します。汚れの除去に寄与する比率としては全体の約15%と言われています。

洗浄時間が長くなれば、洗剤や水が汚れに物理的に作用する回数が増える為、結果的に洗浄効果が高くなります。

襟・袖口の汚れは、洗浄時間が15分〜20分程度までは上昇カーブを描いて除去は進みますが、それ以降はカーブが緩やかになるという検証結果が出ています。

漂白剤などを使ったカビの除去や漂白作用を伴う洗浄は、長時間に渡って上昇カーブを描きながら汚れの除去が進行する結果が出ているので、この場合はつけ置きなど方法が効果的とみられます。

 

④洗剤の作用

 前回も述べましたが、界面活性剤の力で汚れを落とすことを意味しており、汚れの除去に寄与する比率としては全体の約40%と言われています。

界面活性剤は油性汚れなどを水中に溶解し、また不溶性汚れを水になじみ易くし除去効果を高めます。

しかし界面活性剤は濃度が重要なポイントとなります。少なすぎると作用が弱くなり、反対に多すぎると衣類に残存し変色や肌刺激の可能性がある為、必ず洗剤の使用量の目安に従って使用することが大切です。

※前号で界面活性剤の説明をしているので、是非読んでみてください。

 

まとめ

 いかがでしたか?「洗う」ということは、4つの要素が複合的に作用することで汚れを除去することなんです。洗剤だけでは上記のような綺麗な円グラフは完成しませんし、もちろんどの要素が欠けても同様です。

日本の一般家庭では『温度の作用』が困難かもしれませんが、その場合は①洗濯機の作用、③時間の作用、④洗剤の作用の3つを駆使しながら、綺麗な円グラフの様にしたら良いと思います。

また洗剤と一緒に、重曹やセスキ炭酸ソーダなどを助剤と言われるものを併用し、洗浄性(アルカリ性にする)をあげることで、【ニオイ】や【黄ばみ】を防ぐことが出来ます。

単に洗濯機のスイッチを押して スタートするだけではなく、上記のことを少し意識しながら、是非家庭で試してみてください。