お洗濯情報 vol.4

2022年 1月号

汚れを落とすだけじゃない。 知っているようで実は知らない『洗剤の働き』とは?

明けましておめでとうございます。本年もデイリークリーナーズを何卒よろしくお願い致します。

暦の上では小寒(しょうかん)となり、寒さも本格的になってきましたね。今回は初心にかえって、『洗剤』というテーマで書きたいと思います。

みなさん、洗剤ってどういうものかご存知ですか? そんなことを言うと「もちろん、洗剤は汚れを落とすものでしょ?」というツッコミが入りそうですが、実はそれだけじゃないんですね。

衣類には様々な種類の生地(繊維)が使われており、それぞれに特徴があります。例えば撥水・吸湿・速乾・摩擦に強い・保温・冷感などがあげられます。その様な生地(繊維)を洗う為には、洗剤のある重要な成分が欠かせません。

その成分とは聞いたことがある人もいると思いますが、私たちの生活の中でとても身近にあるマヨネーズや化粧品にも活かされている『界面活性剤』です。

次の項では洗剤の主成分である界面活性剤の働きについて紐解いてみます。

 

洗剤の主成分『界面活性剤』とは?

洗剤の主成分となる界面活性剤の分子構造は、上図のように水と油になじむ部分を持っています。通常、水と油は混ざり合うことはありませんが、この水にも油にもなじむ界面活性剤が作用することで、両者が簡単に混ざるようになるんですね。水と油の間を取り持つ立場となる訳です。

 

これを応用しているのが、マヨネーズです。マヨネーズは「お酢」と「油」と「卵の黄身」で出来ていますが、卵の黄身には界面活性剤と同じ働きを持つレシチンという物質が含まれており、そしてこのレシチンのおかげでマヨネーズが完成します。

衣類の汚れの大部分は皮脂という油汚れです。これを水で落とす為には、この働きがとても重要になるんですね。

 

 では次からはお洗濯に重要な主な働きを一つずつご紹介したいと思います。

 

汚れを落とす仕組み

①浸透・湿潤作用

汚れは繊維の表面や隙間に入り込んでいます。ということは、しっかりと汚れを落とすには洗濯物を充分に濡らし、繊維の間に水をしっかり浸透させる必要があるということです。

つまり浸透・湿潤作用とは、洗濯物を洗浄に適した状態にする、下準備の役割ということです。

②乳化作用/可溶化作用

 水と油を混ぜても分離してしまいますが、界面活性剤の分子によって油汚れ(皮脂汚れ等)を包み込み、水と油が混ざり合い牛乳のように白く濁ります。これを乳化と言います。

乳化している状態で、界面活性剤を追加し濃度を高めていくと、徐々に油性成分が水に混ざり透明な状態になりますが、これを可溶化といいます

保湿成分等がある透明な化粧水は、この作用を応用しているんですね。

 

③分散作用

例えばススのような固体の粒子を水に入れて攪拌した場合、ススは混ざり合わずに表面に浮かんでしまいます。

しかし界面活性剤を加える事により、油汚れ(皮脂汚れ等)と同様にススの粒子が界面活性剤の分子に包み込まれ、水中に均一に散らばり水となじみやすくなります。

この作用で洗濯物から安定的に汚れを水中に引き出すことに繋がるんです。

 

④再汚染防止作用

前で説明した浸透・湿潤作用 / 乳化・可溶化作用 / 分散作用が、総合的に作用して汚れを落としたとしても、水中で再び付着してしまっては意味がありません。

つまり、とても汚れている衣類から出た汚れが、そんなに汚れていない衣類に移ってしまっては、お洗濯が台無しになるということです。

この再汚染(再付着または逆汚染)防止作用というのは、繊維や汚れの表面を界面活性剤の分子で取り囲み、水中に分散した汚れを再び繊維に付着する事を防ぐ作用を言い、この特性があることによって、衣類の黒ずみを防いでくれる大事な働きなんですね。



まとめ

いままでに界面活性剤の作用を上げましたが、このような働きが充分に発揮されるには、濃度が重要となります。界面活性剤は、ある濃度になると界面活性剤の集合体(ミセル)というのものを作ります。

このミセルがあることによって汚れを取り込む力(洗浄力)がアップします。よって洗剤の使用量の目安に従って使用することが大切です。

※規定の量以上に入れたとしても、洗浄力は決してアップしません。逆に成分が衣類に残りやすくなり、その成分が菌の餌にもなってしまいます。また成分が蓄積することで、その成分自体が臭いの原因になる可能性もありますので、ご注意ください。

 

次号は、『汚れをもっと落とすコツ』をテーマにアップしたいと思います。