
夏は年々暑さを増しています。暑さに比例して気になる日焼けを防ぐには、さまざまな紫外線対策が必要です。近年は女性だけでなく、男性も紫外線を気にすることが多くなり、紫外線対策の需要は高まっています。
紫外線対策の一つとして挙げられるのがUV(紫外線)カット服の着用です。この記事では、UVカット服とはどのような服のことをいうのか、また、洗濯をするときにはどのようなことに気をつけるべきなのかを解説します。
目次
1:UVカット服の仕組み

UVカット服には、洋服のタグに「UVカット」「紫外線カット」などと書かれています。しかし、一口にUVカットといっても、UVカット服を実現している方法、技術はひとつではありません。ここでは、UVカットを実現している方法と技術、それらを衣服へどのように応用しているかについて、代表的なものを3種類紹介します。
UVカット効果のある微粒子を生地に練り込む
1つ目は酸化チタンや特殊セラミックの微粒子を生地の繊維に練り込む方法です。
酸化チタンと特殊セラミックにはそれぞれ以下のような特性があります。
酸化チタン
・紫外線吸収特性:
紫外線のエネルギーを吸収し、熱エネルギーに変換して放出します。これにより有害な紫外線が肌に到達することを防ぎます。
・紫外線散乱特性:
酸化チタンは微粒子として布地に配合されると、紫外線を乱反射させます。特に、粒子サイズが小さく均一なほど散乱効果が高まり、広範囲の紫外線を遮断します。
特殊セラミック
・紫外線の吸収:
紫外線エネルギーを吸収し、赤外線などの見えない光に変換して外部に放出します。これにより、熱の蓄積を抑えて肌を守ります。
・紫外線の反射、散乱:
光の波長に応じて紫外線を乱反射する効果があり、紫外線を多方向に跳ね返すことで遮断率を高めます。
酸化チタンや特殊セラミックが練り込まれた繊維は、紫外線遮蔽率が高まります。
夏用の衣類やスポーツウェアでは、軽量かつ高い通気性が求められるため、これらの微粒子は高性能なUVカット服の開発に欠かせない存在です。
糸の形状を変えてUVカットする
布の生地は糸を織りあげてできています。糸の断面を拡大すると通常は丸形です。この方法は、糸の断面が違う形になるよう加工することで、糸の表面から紫外線を通しにくくするというものです。断面の形状は、三角、星形、T字型などのバリエーションがあります。
糸の形状を変えることで実現するUVカット服には、以下のような長所があります。
- 通気性がよく軽い
- 吸水性が高いため汗が気になりにくい
- 光の乱反射により、光沢のある見た目になる
- 透けにくい
特殊な素材が使われているわけではありません。しかし、UVカットだけでなく、機能性やデザインにも優れた特徴を持ちます。
生地の織り方で紫外線を反射させる
先ほどは糸の形状を変える方法を紹介しましたが、今度は糸から生地を織るときに凹凸のある形状にする方法です。凹凸のある形状は、太陽光を反射し、肌にあたる紫外線の量を軽減します。表面を凹凸にすることで、透過性が高く太陽光を通しやすい衣服にも有効です。
他にもUVカットに効果のある織り方に、生地の密度を上げるという方法があります。隙間を減らすことで、物理的に太陽光をあたりにくくします。一方でこの方法は、生地の重量が大きくなり、通気性も低下するため夏場の衣類には不向きです。
2:UVカット服の素材の違い

UVカット服には「UVカット素材」や、「UVカット加工素材」が使われているといわれているのを耳にします。買い物をするときにはあまり気にせずに選んでしまいがちですが、この2つには大きな違いがあります。この違いがわかるとUVカットの持続効果への意識が持て、紫外線対策の選択肢が増えるため、ぜひ知っておきましょう。
UVカット素材
UVカット素材とは、生地そのものにUVカット効果があるものをいいます。ここまでで紹介した特殊な素材を微粒子として練り込んだり、糸の形状や生地の織り方を工夫して出来上がった衣服は、UVカット素材を使用しているものです。
UVカット素材は、衣服の生地自体に紫外線をカットする効果があるため、何度も着用したり、直射日光を浴びても効果が低下しにくいというメリットがあります。
UVカット加工素材
UVカット素材が生地そのものにUVカット効果があることに対し、生地にUVカット効果のある成分を後付けしたものをUVカット加工素材といいます。UVカット成分を吹き付けるなどして、一般的な衣類にUVをカットするように加工した素材と覚えるとよいでしょう。
綿やウールなどの天然素材に吹き付けられるため、肌に優しく着心地がよいのが特徴です。
しかし、UVカット効果成分は後から吹き付けられたもののため、何度も着たり洗濯したりしているうちに、成分が剥がれて効果が薄れてしまうというデメリットがあります。UVカット効果はワンシーズン程ですが、家庭用の紫外線カットスプレーを自分で吹き付けることが可能です。お気に入りの衣類にスプレーするだけのため、簡単にUVカット効果を追加できます。
3:UVカット服の洗濯のポイント

ここまでで解説した通り、UVカット服は、生地の作り方に工夫を施したり、UVカット効果のある成分を後から吹き付けたりするなどしてUVカット効果を実現しています。洗濯をすると、生地のつくりを壊してしまったり、UVカット成分が剥がれ落ちて、紫外線の軽減効果が薄れてしまったりしてしまいます。UVカット服は、このことを意識しながら洗濯するようにしましょう。
洗い残しはUVカット効果が低下する
UVカット素材は、特殊金属素材を練り込んだり、生地のつくりを工夫して紫外線を反射させたりすることでUVカットを実現しています。したがって、洗い残しにより素材の構成を壊さないよう注意が必要です。洗剤が流し切れていないと金属成分を破壊したり、また、生地の凹凸や糸の隙間を埋めてしまい、UVカット効果が低下してしまうことがあります。そのため、しっかりとすすぎをすることが重要です。
UVカット洗剤を使用する
衣服の汚れを落とすだけでなく、UVカット効果を付与できるUVカット洗剤というものがあります。使い方は通常の洗剤と同じで、一定量を入れて洗濯機を回すだけです。UVカット加工素材を使っている衣服は、洗濯することでその成分が徐々に剥がれ落ち、UVカット効果が低下します。UVカット洗剤を使うことで、逆に紫外線吸収剤を衣服に浸透させ、UV効果を付与できます。
洗いすぎに注意する
UVカット素材を使ったUVカット服でも、生地の劣化によりUVカット効果は低下してしまいます。製品の取扱説明書には、耐洗濯回数という洗濯試験の結果が記載されていることもあります。購入するときに、衣服を長く使いたいと考えるなら、この回数を指標とするのがよいでしょう。
また、素材へのダメージを軽減するためにアルカリ性ではなく、中性洗剤を使うことでUVカット効果を持続させられます。他にも直射日光による素材の劣化を防ぐため、日陰に干すことや、洗濯するときに高温の水を使わないことなども有効です。
困ったらクリーニング店に持っていく
UVカット服のタグに、ドライクリーニング可や水洗い可の表示が確認できればクリーニング店に洗濯を任せる方法もあります。UVカット服の洗濯では、劣化を防ぐために注意すべきポイントが多いため、自宅で洗濯することに自信がない人もいるでしょう。
クリーニング店は洗濯のプロのため、UVカット効果をできるだけ低下させないだけでなく、縮み、色落ち、ダメージなどの心配もなくきれいに洗いあげてくれるのでおすすめです。クリーニング店を利用するときには、対象衣服にUVカット素材が使われていることを事前に伝え、適切な処理が可能であるかを確認しましょう。
4:まとめ

UVカット服は、生地に特殊な金属素材を練り込んだり、糸や生地の形に工夫を施したりすることでUVカット効果を実現している「UVカット素材」を使ったものと、一般的な繊維素材にUVカット効果のある成分を後付けした「UVカット加工素材」を使ったものの2種類があります。
何度も着まわしても、UVカット効果が落ちにくいのは「UVカット素材」ですが、生地のつくりを壊すような洗濯をするとUV効果が薄れてしまうため、洗い方には注意が必要です。
紫外線は肌だけでなく、健康上の被害にもつながります。この記事により、紫外線対策の一環として、UVカット服を日々の生活の中で有効に活用し、さわやかな夏を過ごしましょう。
